2025年12月9日
ガラスコラム
知らないと危険!耐熱ガラスと防火ガラスの違いとは?種類別に特徴をわかりやすく解説
もくじ
耐熱ガラスとは?

「熱による温度差(急熱・急冷)で割れにくいよう作られたガラス」のこと。
火に直接触れる用途ではなく、温度変化への強さが特徴です。
耐熱ガラスを以下の4つに分類して解説します。
- 強化フロートガラス
- テンパックスフロート
- ファイアライト
- 石英ガラス
耐熱ガラス4種類の詳しいまとめ
1.強化フロートガラス
■特徴
- 衝撃に強い(割れると粒状になる)
- 建築や家具で最も使われる
■耐熱性能
- 100℃程度の温度差に耐える
- 直火は不可
■用途
- テーブルトップ
- オイルガード
- ガラス棚・扉
2.テンパックスフロート(ホウケイ酸ガラス)
■特徴
- 平面度が高く歪みの少ない
- 透明度が高い
- 厚みの種類が多い
■耐熱性能
- 常用使用:450℃(長時間使用/10時間以上)
- 最高使用:500℃(短時間使用/10時間未満)
■用途
- 各種加熱装置・炉の窓
- 実験で使う耐熱容器・器具の窓部分
- 機械のカバーや保護がラス
3.ファイアライト
■特徴
- ほぼ膨張しない(膨張率0に近い)
- 直火でも割れない
- 薄いアンバー色
■耐熱性能
- 常用使用:750℃(長時間使用/10時間以上)
- 最高使用:800℃(短時間使用/10時間未満)
■用途
- 薪ストーブの覗き窓
- 暖炉・窯・サウナなどの小窓
- 工業炉の小窓
4.透明石英ガラス
■特徴
- 光の透過率が高い
- 純度が高いので汚れや薬品に強い
- 耐熱性と耐熱衝撃性も極めて高い
■耐熱性能
- 1000℃
■用途
- 工業・研究系の容器や部品
- 高温設備などの窓材や部品
- 光学・照明の部品
防火ガラスとは
火災時に炎・煙・高温を遮り、延焼を防ぐためのガラス。
耐熱ガラスとはまったく目的が違います。
ここでは次の2つに分類して説明します。
- 網入りガラス(防火ガラスの昔ながらの定番)
- パイロクリア(多層構造の高性能防火ガラス)
防火ガラス2種類の詳しいまとめ
1.網入りガラス(ワイヤー入り防火ガラス)
■特徴
- ガラスの中に金属網(ワイヤー)が入っている
- 火災時にガラスが割れても、網が残り飛散を防止
- ワイヤーの形が4種類から選べます
■耐熱性能
- 【ガラス部分】約120~150℃程度
- ワイヤー部分は熱で膨張→熱割れの原因になりやすい
火には強いが、熱には強くないのが網入りガラスです
■用途
- 防火設備に必要(防火地域や準防火地域で必須になることが多い)
- 学校や公共施設
- マンションなどの共用部
- 工業・倉庫など火気を扱う場所
- 住宅や玄関の勝手口
2.パイロクリア
■特徴
- 網が入っていないためクリアな視界
- 強化ガラスの2倍以上の強度もある
- 熱割れしにくく、経年劣化も少ない
■耐熱性能
- 600~800℃級の高温に耐える(メーカー試験値)
- 熱衝撃にも非常に強い(急加熱・急冷にも耐える)
火にも熱にも非常に強い最新型の防火ガラスです
■用途
- 防火設備に必要(防火性能+見た目を両立したい場合)
- 住宅の窓やドアの交換(古い網入りガラスをパイロクリアへ交換)
- 店舗や商業施設
- 工場・研究施設(割れにくく高温にも強いため耐火窓として
- デザイン性を重視したい建築
まとめ:耐熱ガラスと防火ガラスの違いは”目的”が決め手
今回は、薪ストーブの覗き窓や高温設備の窓や部品に使われる「耐熱ガラス」と建物の防火設備に使われる「防火ガラス」についての特徴や用途などを紹介いたしました。
名前が似ていても目的・性能・使用用途が全く異なります。
| ガラスの種類 | 主な目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 耐熱ガラス | 熱で割れない/急冷に強い | 高温に強いが防火用ではない |
| 防火ガラス | 火災時に崩落防止/延焼防止 | 防火戸・防火サッシに使用 |
結論
- 耐熱ガラスは「熱に強いガラス」
- 防火ガラスは「延焼を防ぐガラス」
使用目的が全く違うため耐熱ガラスと防火ガラスは代用できません!
- 調理や機器の覗き窓→耐熱ガラス
- 建物の防火設備、防火地域→防火ガラス
この違いを理解しておくと、ガラス交換やリフォームのガラス選びに迷わず安全に対応できます。
ご不明な点やお問い合わせ、お気軽のお申し付けください。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。


































