アルミとステンとガラスのミラーは何がどう違うのか?実物で比較してみた

「ガラス鏡は割れるのが怖い」「軽い鏡が欲しい」とお悩みの方におすすめなのが金属製のミラーです。こうしたお客様のお悩み・ご要望にお応えする形で、この度コダマガラスでも金属のミラーを取り扱うこととなりました。
商品として取り扱うにあたりガラス製の普通のミラーと金属製ミラーは何がどう違うのか?違いや仕様を徹底的に比較検証しました。ご検討中の方の参考になれば幸いです。
YouTube動画でも解説!こちらからご覧いただけます。
もくじ
検証に使用したミラーについて

検証のために用意したのは3種類。
・アルミ複合板 「アルポリック/fr RF 01(鏡面)」
・ステンレス複合板 「メタカラーSKW (#800鏡面)」
・ガラス素材の普通の鏡(糸面磨き)
姿見によくある幅450mm、高さ1,500mmのサイズで各種用意しました。
比較検証前に、「アルポリック/fr RF 01(鏡面)」、「メタカラーSKW (#800鏡面)」、「ガラス製ミラー」について特徴を簡単にご紹介します。
アルポリック/fr RF 01(鏡面)の特徴

アルポリック/fr RF 01はアルミと樹脂の複合版で、鏡面仕上げのものを取り扱うことになりました。1㎡あたり6kgと軽く、不燃材料なので天井への取り付けも可能です。
メタカラーSKW (#800鏡面)の特徴

メタカラーSKWはステンレスと樹脂の複合版です。#800鏡面仕上げのものを取り扱い開始しました。ガラス鏡に近いくっきりした映りでありながら、1㎡あたり4㎏と非常に軽量。準不燃材料ですので天井への取り付けもできます。
厚み5mm普通のガラスミラーの特徴

ガラスに金属の膜を付け光を反射するようにしたものがガラスミラーです。最も一般的に使用されている鏡です。今回は姿見としての採用率の高い厚み5mmのものを用意しました。不燃材料ですので天井への取り付けもできますが、1㎡あたり12.5㎏と重いです。
実物を触りながら比較検証

ガラス屋目線でしっかりと各種ミラーを比較検証していきます!
①映像の綺麗さ
アルポリックとガラスミラーを見比べてみたところアルポリックは白っぽいモヤを感じる映りでした。アルポリックに映る像はあまりはっきりせず、ガラスミラーとじっくり見比べると違和感を感じます。
メタカラーの映りは映像の質はくっきりとしていてガラスミラーの映りと遜色ない印象です。若干映像のゆらぎを感じることがありますが、姿見としては十分な映りと言えます。
アルポリックとメタカラーを比較します。やはりメタカラーの方がくっきりとした映像で、アルポリックのモヤモヤ感が目立ちます。映りはメタカラーの方がよく、よりガラスミラーに近い質感の映像だとわかりました。

像映りの他に、色味についても比較してみました。床のグレー色を基準にするとガラスミラーはガラス色由来の緑がかった色合いです。メタカラーは映像は他の2つと比べて暗い色味です。アルポリックは少々白っぽさが気になるものの最も忠実に色を再現していました。

枠などで隠すのであれば気にならない部分ではありますが、切断面も比較。金属ミラーは裁断により端が丸い形状になっています。ガラスミラーは姿見鏡でよくある磨き加工として「糸面磨き」を施しており、カッチリした印象です。金属ミラーは端の丸みで端部の映りが歪むので気になる方にはガラスミラーがおすすめです。
②最大寸法と重量

最大寸法は厚み5mmのガラスミラーが最も大きいです。アルポリックとメタカラーで比べると、アルポリックの方が大きく、メタカラーがこの3種類の中では最も小さいという結果になりました。
1枚の板で大きい鏡にしたい場合はガラスミラーが最初の選択肢になるでしょう。
重量で比較すると圧倒的にメタカラーが軽いことがわかりました。アルポリックはガラスの半分以下の重量で、メカタラーはガラスの1/3程度の重さです。平米での重さで比べても実感が湧きにくいので、幅450mm、高さ1,500mmのサイズで計算すると画像のような重量になります。ガラスはやはり重いですね。

扉などの建具に取り付ける場合には軽い金属ミラーの方が良いかもしれません。また「もし地震などで落下したら…」と考えると、天井などへの設置には軽量な金属ミラーが好ましいでしょう。
③たわみ具合

両端に木の角材を置いた状態で450mm×1,500mmの大きさの鏡を乗せ、たわみ具合について検証してみました。アルポリックはたわみやすいことがわかりました。手で押すとたわみがより顕著になりました。

メタカラーに取り替えてみると、置いただけでたわみ、手で押すと揺れて大きくたわみました。厚みは2mmとアルポリックよりも厚みが薄いこともありメタカラーはかなりたわみやすいことがわかりました。

厚み5mmのガラスミラーはそれほどたわまなかったです。厚みがありガラスという素材も合間って自重もありますがしっかりとしており、手で押すとわずかにたわみはするものの金属ミラーのようなペラペラ感はありませんでした。
角材の上に置くことでたわみやすい状況を作ってはいますが、それぞれがどの程度たわみやすいかの検証ができました。たわみやすいほど下地の影響を受けやすく場合によっては映像にも歪みが生じるため、設置の際には注意しましょう。
④メンテナンス性

鏡にわざと指紋をつけ、中性洗剤を使用して拭き掃除用の布でふき取りました。どのミラーも問題なく拭き取ることができ、ふき取りの摩擦や洗剤による影響も特に感じられませんでした。

強いて違いを挙げるとすれば、使用できる洗剤の種類です。金属素材のアルポリックとメタカラーは強酸性の洗浄液や有機溶剤が付着すると変色や変質を起こす可能性があります。そのためお手入れには中性洗剤の使用が推奨されています。一方ガラスは薬剤耐性が強いため使用できる洗剤の種類が多いという意味ではお手入れがしやすいです。
⑤キズの付にくさ(木材、カッターナイフ)

続いて、キズのつきにくさについても検証しました。木の角材をこすりつけ、表面がどのようになるかを確認しました。

角材で何度も強く擦りましたがガラスミラーの表面には変化がなく傷がはいりませんでした。
一方金属ミラーは角材で擦るとどちらも傷が入るという結果になりました。

角材の他にもカッターナイフの刃を当て引き、どのようになるか検証しました。金属素材が表面に当たるとどうなるでしょうか。

角材で傷つかなかったガラスミラー表面にもわずかにキズが入りました。

アルポリックとメタカラーはどちらも深い線状のキズが入りました。画像内の右側がアルポリックで左側がメタカラーです。感覚的には、アルポリックの方がややキズが入りやすいと感じました。
こういった結果から表面のキズのつきにくさで選ぶならガラスミラーがおすすめと言えそうです。
⑥衝撃への耐久性(傘の先、鉄球)

表面のキズへの耐久性はどの程度かは、先ほどの検証でわかりましたが、衝撃への耐久性はいかほどでしょうか。各ミラーにビニール傘の先を振り下ろしてどのように変化するか、検証しました。

ガラスミラーは特に変化はありませんでした。
金属ミラーはというとアルポリックとメタカラーどちらも傘の先を当てた跡がついてしまいました。
事前にメーカー様から「衝撃で凹みます」と注意喚起いただきましたが、その通りの結果となりました。

傘が当たるよりも強い衝撃があった場合はどのようになるでしょうか。傘よりも重くて重量のある鉄球を落として検証します。

安全確保のためテープを貼った後鉄球を落とすとガラスミラーは鉄球の衝撃に耐えきれず割れてしまいました。テープなしでは破片が飛び散り、周囲が危険な状態になったと予想できます。
ちなみに飛散防止フィルムを貼ることで、破片の飛び散りを防ぎ安全を確保することができます。
金属ミラーに鉄球を落としましたがどちらも鉄球の当たった箇所が凹みました。映りが歪んでしまいましたがガラスのように割れはしませんでした。

金属ミラーは衝撃があっても割れず破片も出ないので、もしものときも安心ですね。とはいえ凹みによる映像の歪みは発生することから、金属ミラーであっても衝撃を受けた後は交換をお勧めします。
⑦適した設置場所

ガラスミラー、アルポリック、メタカラーそれぞれに適した設置場所についても実物を触りながら議論しました。3種とも天井への設置は可能ですが、割れた時や重量を考えると天井にはガラス製より金属ミラーの方が良いという結論に。
また、もし衝撃があった場合でもアルポリックとメタカラーは破片が出ません。
破片が混入する心配がないことから金属のミラーは食品工場や精密機械のある場所などにも良さそうです。
⑧選び方のポイント

姿見鏡としてはどれも十分な機能を備えていましたが大きな違いは衝撃が加わったときにどのようになるか。
ガラスは割れて破片が飛散し、金属ミラーは凹みはするものの割れませんでした。割れた時の安全性を重視する場合は金属のミラーが安心です。
また、アルポリックとメタカラーのどちらかで検討中の場合は割れない鏡でとにかく映れば良いという方にはコスト的にもアルポリックがおすすめです。映像の綺麗さや重量の軽さを重視する方にはメタカラーをオススメします。
お選びの際は次に解説する設置できる場所やコスト・納期についてもご確認ください。
各ミラーを設置できる場所
ガラスミラー、アルポリック、メタカラーはそれぞれ設置できる場所とできない箇所があります。
設置場所に合わせてお選びください。
天井

天井への設置は建築法の内装制限により、準不燃以上の材料であることが求められます。3種類とも準不燃以上の材料であるため天井に問題なく取り付け可能です。
ただ、割れた時の安全性や重量を考えると、ガラスよりも軽く衝撃が加わっても破片の出ないアルポリックまたはメタカラーをお選びいただく方が安心してご使用いただけるかなと思います。
浴室

アルポリックは水廻りでの使用はできないためお風呂の鏡としては使用できません。
メタカラーは小口を隠す処理をすれば使用可能ですが劣化のスピードが速くなる可能性があります。

ガラスミラーは小口(ミラーの端部)に防湿加工を施すか、裏面全面に防湿加工をすることでお風呂での使用が可能になります。ガラスミラーは様々な洗剤に対応するためお手入れ頻度の多い浴室鏡として採用しやすく、現在でも広く一般的に使用されています。
交換するときのコストも考えると浴室にはガラスミラーがおすすめです。
外装
アルポリックとガラスミラーは内装専用のため外装での使用はできません。
メタカラーは軒下など「常に水がかからない」場所であれば外装でのご使用が可能です。設置場所がどの程度雨や水がかかる環境なのか、ご確認いただき、お選びいただければと思います。
おおよその納期とコストについて

お急ぎの方やコスト重視の方には、ガラスミラーがおすすめです。
納期
ガラスミラーは弊社にて常時在庫しており、特殊な加工がなければ1~3日の製作期間を経て出荷となります。
アルポリックとメタカラーはメーカーでのカット対応となるため、ご注文から出荷まで最短1週間程度は必要になります。
コスト
コストで選ぶなら現状はガラスミラーがおすすめです。金属ミラーを定尺品の平米単価で比較すると、アルポリックの方がお安くはなりますが歩留まり(端材の出方)によっても価格が変動しますので詳細はお問い合せ下さい。
一番おすすめの鏡はどれ?

何を重視するかによりますので、ここまで比較検証してきた内容を踏まえて一例をご紹介いたします。
・コストや納期を重視したい
→ガラスミラーがおすすめ
・浴室で使用したい
→ガラスミラーがおすすめ
・天井や学校・保育園などに設置する
→安全性の高いアルポリックまたはメタカラーがおすすめ
・食品工場や精密機械がある空間など、シビアな環境に設置する
→衝撃が加わっても破片が出ないアルポリックまたはメタカラーがおすすめ
・建具などの扉に取り付ける
→重量の軽いアルポリックまたはメタカラーがおすすめ
・金属ミラーで映りのくっきりしたものが良い
→メタカラーがおすすめ
・金属ミラーで1枚で大きい鏡にしたい
→アルポリックがおすすめ
・軒下に鏡を設置したい
→メタカラーがおすすめ
ミラーのことでお悩みの方はお気軽にご相談ください
ガラスミラー、アルポリック、メタカラーの3種類についてガラス屋目線で色々と検証してきましたが「結局どれがいいのかわからない」「ガラスミラーか金属ミラーか決めかねる」などお悩みになる方もいらっしゃるかと思います。
そんなときはお気軽にコダマガラスまでご相談ください。お客様の状況をオペレーターがヒアリングし、最適なものをご提案いたします。
























